東京義賊ブログ

大道芸には「つちくささ」も大事!

「つちくさい」ってなんでしょ。漢字で書くと「土臭い」です。

ステージショーや、フェスティバル等においてはその限りではありませんが、道端で演じる演芸である大道芸には、ある程度の「つちくささ」という物が必要です。

人によって感じ方が違うんだけど、TOMIのショーで言えば
・マーカーコーンのキラキラテープがいかにもDAISOっぽい。手作り感満載。
・スピーカーが地面に直置き。配線も見えている。
・ダイスのカップにバーコードがついたまま。
・看板が手作り。
また、モノの見た目だけでなく
・ショーと関係ない事を喋る。
・失敗したことを人のせいにしたり、失敗を失敗として認めなかったり。
・照明、曲の切り替えなんかを自分でやっている。
・言葉のイントネーションがおかしい。
という風に、内容でも「つちくささ」を出してる。

テレビのショー、サーカス、ステージ、そういったところでは観ることの出来ないやり口ではあるものの、そこが大道芸の良さでもあって、パフォーマーとお客さんの心の距離を詰めるための親近感を与える方法。
これは、やりすぎるとお客さんがパフォーマーを見下すようになったりするんだけど、

お客さんがパフォーマーを見上げるよりも、お客さんがパフォーマーを見下す方がちょうどいい。

ステージショーの場合は逆。特に有料でパフォーマンスを観る機会があれば、お客さんがお金を前払いしてでも観たいと思うきらびやかな内容、しっかりした内容、見た目、清潔感、完成度、気の配り方等、完璧なエンターテインメントが求められる。
でもね、大道芸では、定規で描いたようなカッチリしたショーマンは求められていないんだよ。おもしろくないでしょ。


完璧なんだけど、可愛げがない。

付け入る隙が無いショーは、価値は高いものの、親近感が生まれにくく、ショーの完成度が高まれば高まるほど、お客さんとパフォーマーが別次元で構成される生き物になる。
これは、ゆくゆくはアイドルだね!
アイドルって、今は「会えるアイドル」とかいるけど、それって「アイドルは会えない」が前提だから、それの距離を近づけましょうっていう流行りなんだけど、つまりは別次元で存在しているものを同次元に持ってこようってことで、でも別次元は別次元なんだよ。

ステージで求められる完璧なショーと大道芸で求められる完璧なショーは違う。

TOMIはもちろんステージも大道芸もやるけど、様々なケースで、お客さんや求められている事柄に合わせて演技を構成し、今回のテーマである「つちくささ」ってのも出し方、出すポイントみたいのを使い分けてる。

一例として、夜のパフォーマンスで「LEDロープ」「LEDチューブロープ」の二種類を比較すると、
大道芸なら「LEDロープ」、ステージなら「LEDチューブロープ」が適してる。
ふにゃふにゃしている、クリスマスツリーに使うような安いLEDロープの方が大道芸というフィールドでは親近感を持ち、警戒心を無くし、同次元に存在する人間がパフォーマンスを行っているという事を感じやすいのに対し、ピシっとしている、イルミネーションに使うような太いLEDチューブロープの方がステージっぽさが演出できて、高級感を感じ、物々しさがあり、豪華なショーを観ているように感じる。

どちらが良いかなんて、個人の主観だし、やってみなきゃわからないことも多いんだけど「大道芸」というフィールドにおいては「つちくささ」という物をあえてショーに取り込む事によって、お客さんに喜んでもらえるパフォーマンスに繋がると思うので、是非考えて欲しい。

土って匂うのかな?
土の匂いを感じられずに大道芸を行うのは、ステージを大道芸に持ってきているだけ。
逆もまたしかり。大量の土をステージに持ち込まないよう、今一度パフォーマンスと向き合ってみよう。