『アレが欲しいな。コレが欲しいな。』
『あんなのが欲しいな。こんなのが欲しいな。』
ショーと向かい合っていると、道具や衣装なんかでそんな事を思うことがあると思うんだけど、実際に世の中にあるもので自分が夢に見た通りの物っていうのは存在しない。
市販されているもので妥協するのか。
妥協せずに作り出すのか。
そこが分かれ道。
「市販されているけど高くて買えない」っていう時も含めて、無いものは作っちゃえ!
僕は静岡工業高校のインテリア科を卒業しておりまして、木材工芸科みたいなところなのでのこぎりなんかを使うのは得意といえば得意。製図もやったけど建築科ほどではなく、インテリアなので家具や室内の事くらいだけどね。
これは、静岡市の伝統工芸文化の影響で工業高校に珍しくインテリア科があったってだけで、大道芸をやるためにインテリア科に入った訳じゃない。順番逆だし。
ただ、学んだ事はすごく役に立っている。ほんと無駄な勉強って無いよね。
家は作れないけど、ダンボールハウスくらいなら作れるよ。
ただ、誤解しないでほしい。
作れるから作るんじゃないんだよ。
作りたいから作る。
作るから作れるようになる。
このプロセスが大事。最初から何でも出来る人なんていない。
でも、できないからって人任せにして外注したり、市販で妥協したりしていると自分が成長しない。
出来るかできないかではなく、やってみよう。作ってみよう!
高校を卒業してからデザインの専門学校でコンピュータグラフィックス科に入り、HPの作り方やDTPなんかも学んだけど、特に役に立っているのはIllustratorやPhotoshopといったグラフィック系のソフトウェアを使えるようになったこと。
でも、これも社会人になってから覚える人もたくさんいるし、昔ほど難しい手順を踏まなくてもデザインが出来るようになっているので是非挑戦して欲しい。
完全にデザインや芸術、工芸が好きで、そんな事しかやっていない人生だから、家庭科や機械系は苦手かと言うと、今は裁縫も出来るし、ミシンも使えるし、ハンダも使える。
そんなの中学生の時に習った程度だけど、やれば出来るじゃん!
やるかやらないか。それだけなのさ!
大道芸の音楽をかけるスピーカーの話とかも、消費電力が何ワットで、どのバッテリーだとどのくらい持つかなんて計算は僕の学生時代にはやることも無かったけど、今は覚えた。
色々な知識と技術を吸収すれば、なんだってできる。
実際、TOMIのパフォーマンス機材は自作が多い。
・ローラーバランスの筒をカット。(最近は業者に依頼)
・筒に滑り止めシートを貼る。これは意外と難しい。でもきれいに貼る。
・乗るための板をカット。(最近は業者に依頼。でも板の選び方は自分の多くの経験と失敗から選定している。)
・ローラーバランスのスペーサーは様々なパターンを制作して、やっとあの形、素材に落ち着いた。
・ローラーバランスの演技の時に使用している脚立は業者向けに売っている既成品を改造して、更に他の製品と組み合わせてあの形になっている。
・ダイススタッキングの筒は何年もかけて探し、たどり着いた。既成品だけど人の真似じゃないのさ。
・シェーカーカップの選定は、世界中からシェーカーカップを取り寄せて、実際に使用。(最近は自ら設計したオリジナルシェーカーカップを地元の仲間と共同開発し使用。ただし開発途中。)
どうしたら自分の理想とする演技が出来るのか、そのためのツールが世の中に無いなら作っちゃおう!
過去にはスピーカー搭載のトランクや、シェーカーカップが飛んでくるシーソーとか、本当に多くのガラクタを制作してきた。
今も使っているもの。今は使っていないもの。作ったものの一度も使っていないもの。
そんなガラクタがいっぱいできたけど、やったことない事に挑戦して、多くの失敗と経験を積み重ねて、新たな知識と技術を習得して、何でも作れちゃうパフォーマーになろう。
道具だけでなく、衣装、音楽、もちろん技やパフォーマンス、キャラクター。全てが我々の表現手段であり、既成品で済ませるという事は自分の表現が他人の枠に収まっちゃうって事になる。
誰かの枠に閉じこもらないで、必要なものが世の中に無いなら自分で作っちゃおう!
そして自分の思いを最大限に表現しよう!