東京義賊ブログ

ファイヤーショーから学ぶこと

ファイヤー!!!!

ファイヤーTOMIさん

近年はファイヤートーチを使ったショーをやる機会が減りました。
何年もやる機会がないので、昨年ファイヤー関連の道具は全て譲ってしまいました。

今ではノンファイヤーパフォーマーです。

若い頃はクラブジャグリングが出来るようになったら出来ると思い、購入して必死に練習したものです。何度も火傷をして、手に引火した際の火傷の跡はまだ右手に残っていますし、ファイヤーイーティング(火喰い)もやっていたので、口を火傷した時は唇に水疱ができ、膿み、それは今でも鮮明に覚えています。火は熱いんですが、火傷ってのは「痛い」んだよねー。

さて、なぜTOMIはファイヤートーチジャグリングをやるようになったんだろうか。

それは、「世の中にそういう道具があって、やっている人が居たから憧れた」という感じです。

ファイヤートーチの他に、似たような道具で「クラブ」「ナイフ」があります。

左からクラブ、ナイフ、トーチ。

クラブってのはボールと同じような技が出来るんですが、必ず一回転して、ハンドル(持ち手)の部分が手元に帰ってくるように投げる芸って感じで、そのクラブと同じ動きをする道具がナイフとトーチ。

クラブが出来るようになったので、早速トーチを購入するんだけど、「火」ってすごいのよ。

何がすごいって、クラブと同じ技やっても見栄えが全然違って、みんな「すごい!すごい!」って言ってくれる。あつそー。こわいー。すごいー。わー!。キャーって!

で、当時できる技を全部詰め込んで、GOLDFINGER99とか流しながらやってたんだよね。

それで大満足で、まぁ特にTOMIの場合はラストにローラー乗りながらトーチ回すから、クラブジャグリングをそれ以上上達させる気も無かったのもあるんだけど、とにかくその当時の技で大満足。大盛り上がり!

で、失敗したのが
【トーチありきで考えていた】ってこと。

当時はどこへ行ってもトーチが使えたのでそれで良くって、たまーに室内のイベントが入った時だけナイフでやる。ナイフは重いのと、火独特のネタが出来ないから好きじゃなかったけどね。クラブよりも危険なんで、ジャグリングパートはトーチ、もしくはナイフで喜んでもらってた。

で、こっからが本題。だんだんトーチ出来ない現場が増えてきて、ナイフも出来ない現場も増えてきた。危険って理由で、やらせてもらえない。

実際、海外ではトーチジャグリングやってた人が女の子に大火傷を負わせてしまったなんてニュースも飛び込んできたのでわかるんだけど、「危険=盛り上がる」っていうのが自分の中にあって、捨てたくなかったんだよねー。

で、しかたなくクラブジャグリングでパフォーマンスショーを構成するようになるんだけど、やっぱりトーチみたいに盛り上がらないんだよ。

トーチは本当に扱いやすく、盛り上げやすい。

ナイフはりんごの皮を向いたり、りんごに刺したりするんだけど、「どうせ切れないんでしょ」って疑っている大人も多く、とにかく火ってもともと持っている力が凄いから全然勝てないし。

クラブでショーやるんだったらもっと技術が必要で、その技術は自分には無かったからトーチが良かったんだよ。

そう、気づいたかな?

【技術の無さを火の魅力で補っていた】
【虎の威を借る狐の様に、火の魅力を自分の魅力としてすり替えていた】

ということ。TOMIが凄いんじゃないんだよ。火って凄いんだよ。

だからクラブに持ち替えて同じ技、同じ構成をやったときに初めて自分の技術の低さに気づくわけ。

ちなみに今もほとんど当時と同じ構成でやってる。お客さんと絡んだり、若年層相手にコメディー要素を入れる時にやっているだけだから、メインではなく取捨選択をしてショーの中でやったりやらなかったりしているんだけどね。当時、その事にもっと早く気づいていればまた違った魅力のあるクラブジャグリングになっていたんじゃないかな。

ショーを構成する上で大切なのは、だれが何をして、どういうふうに思って貰いたいかって事なので、道具の持つ魅力、曲の持つ魅力、顔、服装、経歴、そういうものではない部分を最も大切にして、核に据えた上で、火や道具や曲など様々な要素でプラスされるべきだと思う。

技術が無いなら、練習を積むか、無いなら無いなりの見せ方ってのを考えるかすれば良い。
お客さんが観ているのは技なんだけど、お客さんが感じているのは空気なので、空気をコントロールできれば技術の低さなんて関係ないんだよ。

逆に、火に頼っちゃいけない。

魅力的なパフォーマーが火の魅力を取り入れるのはプラスだけど
魅力的でないパフォーマーが火の魅力で勘違いしちゃったらマイナスなんだよ。

大道芸人だからさ。アーティストだからさ。やりたいことをやればいいんだよ。でもね。
なりたい自分になるために、自分自身と向き合って、ごまかさずに、自分の駄目な部分に蓋をせずに、自分自身を受け入れて、自分自身を大好きになって、まっすぐ芸の道を歩んでくださいな。ごまかすことは自分の成長を妨げるからね!